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千葉地方裁判所 昭和61年(行ウ)11号 決定 1988年6月03日

原告

下村勇

被告

原口行光

主文

本件申立てを却下する。

理由

原告の申立ての理由は、別紙申立書記載のとおりである。

ところで、判決に脱漏があつたとして補充判決を求める申立てがあつた場合の措置について、一般には「その申立ては裁判所の職権の発動を促すものに過ぎないのであるが、裁判所が脱漏を認めない場合でも、あるいは脱漏があるか否か不明な場合には、期日を指定して、その点につき口頭弁論を開き、その弁論に基づいて終局判決をすべきである。」と解されている。しかし、判決に脱漏のないことが明らかである場合には、当該訴訟は既に完結して終了しているのであるから、更にその訴訟について口頭弁論を実施する余地もないものと解するのが相当であり、また、脱漏の存否について何らかの判断が示され、これについて当事者からの不服申立ての方法が講じられているのであれば、当事者の利益を損うことにもならないものというべきである。

そこで、記録に基づいて検討するに、原告の申立てに係る「請求一」については、判決の理由欄の第二項において、「請求二」については、理由欄の第三項1において、「請求三」については、理由欄の第四項において、いずれも裁判所の判断が示されている事実を認めることができるのであるから、原告の申立てに係る判決には脱漏がなかつたものというべきである。

そうすると、原告の本件申立ては不適法であるから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官加藤一隆 裁判官小野洋一 裁判官本間健裕)

別紙申立書

右当事者間の事件について六二年九月二一日判決が言渡されたが次の通り裁判を脱漏しているので民事訴訟法第一九五条に基き脱漏した請求の部分について訴の繋属を申立てる

請求一 原告の主張―目的税である都市計画税は都市計画事業に充てるために課税されたものでその歳入歳出は特定される特定財源である。特定財源は一般財源と区別して経理しなければ目的に充当することは出来ない。

被告の主張―一般財源に繰入れても当該事業に充当され残金は翌年度の一般財源に繰越された。

判決―一般会計と特別会計の会計区分を示し一般財源と特定財源の財源区分については判示がなく裁判を脱漏した。

請求二―請求原因は地方自治法第一七九条に照らし「議会を招集する暇があった」から専決処分は成立しない、であり、議会の承認の効力については判断を求めていない。暇があったかなかったかについての判示はなく裁判を脱漏した。

当該支出が町に損害を与えたについても判示はない。

請求三―1 地方自治法第一四条に照らして条例に基かない支出であると請求したが、第一四条の解釈について判示がなく裁判を脱漏した。

2 補償対象とされた①バイ煙 ②悪臭 ③交通量の増大による環境破壊 ④精神的苦痛について補償金の支出の合意が成立して支払われたから違法はないとされたが、「右四項目による損害の事実はなく補償対象にはならない」との請求について損害の有無の判示はなく裁判を脱漏した。

この支出が町に損害を与えたについて判示がない。

右の脱漏した請求の部分について訴の繋属を申立てる

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